その採用課題、業界特有!?

「母集団が集まらない」「内定を出しても辞退される」…多くの採用担当者様が頭を悩ませるこれらの課題。しかし、その根本原因と有効な対策は、業界によって大きく異なることをご存知でしょうか?

2026年卒の採用市場は、学生優位の「売り手市場」がさらに加速し、就活の早期化もかつてないほど進んでいます。学生はより活発に、そしてより早い段階から企業の情報収集を行っており、もはや「初任給の高さ」だけでは学生の心は動きません。

貴社の業界特有の採用課題を明らかにし、貴社の採用活動を成功に導くヒントを見つけてください。

(IT・情報通信業界)
スキル採用の限界。「育成力」で原石を見つける

業界特有の課題

  • 高度専門人材(AI、データサイエンス等)の獲得競争が激化し、新卒市場ではほぼ見つからない。
  • 応募は来るが、求めるスキルレベルに達していない「質的ミスマッチ」に悩んでいる。

戦略の核心:「ポテンシャル採用」への大胆なシフト

即戦力となる「完成品」を探すのではなく、「自社で一流に育て上げられる原石」を見つけ、惹きつける戦略が主流になっています。

明日からできるアクションプラン

  1. 「育成力」を前面に押し出す: 採用サイトや面接で、貴社の研修制度、メンター制度、キャリアパスを具体的に語りましょう。「スキルに自信はないが、本気で学びたい」という意欲の高い学生に、「この会社なら成長できる」という確信を持たせることが重要です。
  2. ポテンシャルを見極める質問をする: スキルチェックだけでなく、候補者の思考力や学習意欲を探る質問を取り入れましょう。
    • 「当社のサービスについて、どのような点に興味を持ちましたか?」(興味・関心の深さ)
    • 「仕事で壁にぶつかったとき、あなたならどうしますか?」(課題解決能力・ストレス耐性)
    • 「スキルアップのために、現在学習していることはありますか?」(主体的な学習意欲)
  3. 技術ブログや社内勉強会を公開する: 貴社のエンジニアが持つ技術への情熱やカルチャーを外部に発信することは、最高のブランディングです。

(BtoB製造業)
その技術力、学生に届いていますか?「共感」で惹きつける広報戦略

業界特有の課題

  • 事業内容が学生に馴染みがなく、知名度不足でエントリーが集まらない。
  • 「お堅い」「地味」というイメージが先行し、仕事の面白さが伝わらない。

戦略の核心:「機能」から「情緒」へ。SNSでリアルを届ける

製品スペックや事業規模といった「機能的価値」だけでなく、社員の人柄やものづくりへの情熱といった「情緒的価値」を伝え、共感を呼ぶ広報へとシフトしています。

明日からできるアクションプラン

  1. ショート動画(TikTok, Instagramリール)を始める: プロが作った綺麗な動画よりも若手社員の「一日の仕事紹介」や、普段は見られない「製造の裏側」など、社員が楽しんで作るリアルな動画が学生の心を掴みます。
  2. 採用サイトの主役を「人」にする: トップページを、製品の写真から、生き生きと働く社員の写真に変えましょう。社員インタビューでは、彼らの「生の声」を届けることに注力してください。
  3. オンライン工場見学を定例化する: 地方のハンデを乗り越え、技術の面白さをライブ配信で伝えましょう。チャットでリアルタイムに質問に答えるなど、双方向性を意識することが成功の鍵です。

(建設業界)
「新3K(給与・休日・希望)」への転換をどう伝えるか

業界特有の課題

  • 「きつい、汚い、危険」という旧来の3Kイメージが根強く、若手人材に敬遠されがち。
  • 働き方改革を進めているが、その実態が学生に十分に伝わっていない。

戦略の核心:DXと働き方改革を「具体的」に証明する

「地図に残る仕事」というやりがいに加え、「最先端技術で働くスマートな仕事」「休日をしっかり確保できる仕事」という新しい魅力を、具体的な証拠と共に提示することが不可欠です。

明日からできるアクションプラン

  1. 働き方改革を「数値」で示す: 採用サイトや説明会で、「年間休日120日以上」「現場は原則18時退勤」など、具体的な数値を大きく掲げましょう。抽象的な言葉より、客観的なデータが学生の不安を払拭します。
  2. DXを「体感」させる: インターンシップで、BIM/CIMのシミュレーションやドローン測量を体験できるプログラムを企画しましょう。「建設業=テクノロジー産業」という新しいイメージを植え付けることができます。
  3. 若手・女性社員の活躍を発信する: 多様なロールモデルの存在が、応募の心理的ハードルを大きく下げます。彼らがどう働き、どうキャリアを築いているのかを積極的に紹介しましょう。

(サービス・小売業界)
人材獲得競争の最前線。「定着」と「成長」で差別化する

業界特有の課題

  • 人材獲得競争が全業界で最も激しく、常に人手不足の状態。
  • 離職率の高さが課題となっており、「長く続けられない」というイメージを持たれがち。

戦略の核心:「採用力」から「育成・定着力」へ

もはや「採用して終わり」ではありません。入社後の多様なキャリアパスや成長機会を提示し、「この会社なら長く活躍できる」と納得してもらうことが、他社との決定的な差別化要因となります。

明日からできるアクションプラン

  1. 多様なキャリアパスを「見える化」する: 店舗スタッフから、店長、エリアマネージャー、本社の商品開発、マーケティング、人事など、いかに多様なキャリアが描けるかを、具体的な社員のキャリア事例と共に採用サイトで紹介しましょう。
  2. 採用ターゲットを多様化する: フルタイム勤務の若手だけでなく、シニア層、外国人留学生、時短勤務希望者など、多様な人材が活躍できる柔軟なシフト制度や労働環境を整え、それを積極的にアピールしましょう。
  3. DXで働きやすい環境を作る: セルフレジやAIによる需要予測などを導入し、従業員の負担を軽減している実績を伝えましょう。「テクノロジーで働き方を改善している会社」というメッセージは、学生にとって非常に魅力的です。

全業界共通の最重要課題:「候補者体験(CX)」の向上

業界を問わず、今の学生が最も重視しているのが選考過程での体験です。

  • レスポンスは迅速に: 連絡の遅さは不信感に直結します。
  • 面接は対話の場に: 候補者の緊張を和らげ、「うまく話せた」と感じてもらえる雰囲気作りを心がけましょう。
  • フィードバックを伝える: 合否に関わらず、候補者の今後の糧になるようなフィードバックを伝えることで、「真摯に向き合ってくれた」という信頼が生まれます。

採用活動は、もはや「選ぶ」場ではなく、学生から「選ばれる」ためのプレゼンテーションの場です。