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ただの”作業者”で終わらない!事業戦略と財務諸表の読み方入門

「また急な増員依頼か…」「候補者からの『会社の将来性は?』という質問に、どう答えよう…」

採用担当者として、そんな風に悩んだこと、ありませんか?

こんにちは!人事・採用領域のスキルアップ情報を発信しているPICOです。

日々の業務に追われる中で、いつの間にか「言われた要件の人を探す」という作業に終始してしまい、もどかしさを感じる。これって、採用担当者あるあるですよね。

でも、もしあなたが会社の未来を自分の言葉で語り、事業部の課題を解決する「戦略パートナー」になれたとしたら、仕事はもっと面白くなるはず。

そんな現状を打破するための第一歩として、「事業戦略」と「財務諸表」の基本的な読み解き方を、どこよりも分かりやすく解説します。

難しい専門用語は使いません。明日からの採用活動に活かせる、具体的なアクションまで落とし込んでご紹介するので、ぜひ最後までお付き合いください!

なぜ、採用担当者に「ビジネス視点」が必要なの?

[カフェでノートパソコンを開き、戦略を練っている採用担当者の画像]

「採用は採用、ビジネスは経営企画の仕事でしょ?」と思うかもしれません。でも、この視点を持つことで、あなたの仕事は劇的に変わります。

① 採用の質が劇的に向上するから
会社の戦略を理解すると、「なぜこの人が必要なのか」が腹落ちします。すると、候補者への魅力付けの言葉に、深みと説得力が生まれます。

② 優秀な候補者を惹きつけられるから
優秀な人ほど、会社の「未来」を見ています。会社の戦略や財務の安定性を語れる採用担当者は、こうした優秀層からの信頼をがっちり掴むことができます。

③ 事業部から本当に頼られる存在になれるから
「5人採用して」という依頼に、「承知しました」で終わるのではなく、「目標達成のためには、こういう人材はいかがでしょう?」と提案できる。これが、事業部にとってなくてはならない「戦略パートナー」の姿です。

会社の「未来への設計図」を読み解こう!

会社の未来を知るために、経営会議に参加する必要はありません。誰でも見ることができる「未来への設計図」、それが企業のウェブサイトにある「IR情報」です。

「投資家向けで難しそう…」と感じるかもしれませんが、大丈夫。見るべきポイントは限られています。まずは以下の2つの資料に目を通してみましょう。

  • 中期経営計画: 会社の3〜5年後のあるべき姿、目指すべき目的地が描かれています。

  • 決算説明会資料: 直近の業績報告と今後の見通し。目的地へ向かうための、現在地と次のルートが示されています。

この資料で特に注目すべきは、「どの事業が伸びているか」そして「これから、どこにお金を投資しようとしているか」という2点です。

例えば、「B事業の利益が急成長しており、今後10億円の追加投資を計画している」という情報を見つけたとします。これは、「会社が今、最も力を入れて獲得したいのは、B事業をさらに成長させてくれる人材だ」という明確なメッセージなのです。

3分でわかる!会社の「健康診断書」の読み方

次に、会社の「健康状態」を把握しましょう。「財務諸表」は難しく見えますが、これは会社の「健康診断書」です。ここでは、採用担当者として最低限おさえておきたい3つの指標だけを、サクッとご紹介します。

P/L (損益計算書) = 体力測定

会社の「稼ぐ力」を示します。

  • チェックポイント: 営業利益が黒字か?

  • ひとことで言うと: 本業のビジネスで、しっかり利益が出せているか?です。

B/S (貸借対照表) = 身体測定

会社の「体力・安定性」を示します。

  • チェックポイント: 自己資本比率が30%以上か?(40%以上なら超優良!)

  • ひとことで言うと: 会社の財産のうち、借金じゃない「自分のお金」はどれくらい?です。比率が高いほど、倒産しにくい筋肉質な会社です。

C/S (キャッシュフロー計算書) = 血液検査

会社の「血液の流れ」を示します。

  • チェックポイント: 営業キャッシュフローがプラスか?

  • ひとことで言うと: 本業によって、手元の現金はちゃんと増えているか?です。黒字でも現金がなければ会社は危ないですから、ここは超重要。

知識を「採用力」に変える3つのアクション

さて、ここからが本番です。得た知識を、明日からの採用活動で「武器」に変えるための具体的なアクションを3つご紹介します。

Action 1: 求人票を「未来への招待状」に進化させる

会社の戦略を理解すれば、求人票の言葉が変わります。

Before: 【急募】法人営業担当

After: 【会社の未来を創るB事業部】年率300%で成長中の海外展開を担う、コアメンバー募集!

どちらが、優秀で意欲の高い人材の心に響くかは、言うまでもありませんよね。

Action 2: 面接で「数字」を根拠に魅力を語る

面接は、会社の魅力をプレゼンする絶好の機会です。

「弊社は安定しています」と漠然と伝えるのではなく、「**自己資本比率が40%**と高く、財務基盤は盤石です。だからこそ、目先の利益に追われるのではなく、あなたが本当に挑戦したいことに、会社として長期的に投資できる環境なんですよ」と伝える。

このように、客観的な「事実(数字)」を、候補者にとっての「未来のメリット」に翻訳してあげることが、絶大な説得力を生みます。

Action 3: 面接で「ビジネスセンス」を見抜く質問をする

候補者のポテンシャルを深く知りたいなら、こんな質問を投げかけてみましょう。

「当社のビジネスについて、今後の“機会(チャンス)”と“脅威(リスク)”は何だと思いますか?」

この質問一つで、候補者の企業研究の深さ(準備度)、物事を多角的に分析する力(思考力)、そして入社後の活躍を自分事として考える(当事者意識)まで、まとめて見抜くことができます。

(まとめ)「作業者」から、事業の成功を共に創る「戦略パートナー」へ

今回ご紹介した内容は、決して難しい専門知識ではありません。でも、この視点を持つかどうかで、採用担当者としてのあなたの価値は大きく変わります。

1. IR情報で、会社の『進むべき道』を読む
2. 財務三表で、会社の『健康状態』を把握する
3. そしてそれを、具体的な『採用アクション』に落とし込む

まずは、自社のIR情報のページを開いてみることから始めてみませんか? 数字の裏にある物語を読み解き、会社の未来を自分の言葉で語れるようになったとき、あなたは単なる「作業者」ではなく、事業の成功に不可欠な「戦略パートナー」として、大きなやりがいと信頼を手にしているはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!